『MAIWAI』という名に込めた想い

『MAIWAI』という名は、ここ鴨川の地で昔からある豊漁を祝い船主が感謝の気持ちを表し配った縁起物の染め物であり、県指定伝統工芸品「万祝半纏」のこと。フロアの一番大きな壁面には、目が覚めるような藍色と鮮やかに染め抜いた赤や緑の図柄をアートワークのように組み合わせており、今から70年ほど昔、実際に大漁の時に作られた万祝です。縁起の良い伝統工芸品を愛でながらのお食事は、お祝いの席にもふさわしく、日常の中にあってもすこし贅沢な時間を過ごしていただけるのではないかと思います。
店内にはテーブル席に加え、セミプライベートルームが設けられています。そんな空間で供される料理は、『板前ライブダイニング』という店名が示すように 板前やシェフは調理場ではなく、ゲストが食事を楽しむフロアで季節感や房総らしさを実感していただけるようにと料理に繊細な仕上げを施していきます。

万祝い、縁起の良い柄を使って様々な想いを込める

訪れた方に幸せを感じてもらえるように過ごしてほしい。その想いをどのようなカタチにして表したら良いか?と考えることからお店作りが始まりました。サービスは「ゆっくりくつろいでいただけるよう お客様に寄り添っって」。そこで過ごす空間はどんなものがふさわしいのだろうか。地域に昔からあるもので、なにか幸せを感じられるものはないか・・と考えていたところ「万祝」を使ったらどうかということになりました。万祝いは鶴や亀、海にまつわる神様など縁起のよい図柄を取り入れた染め物であり、そんな伝統工芸品を愛でながらお食事ができたら、お祝いの席にもぴったりですし、日常の中にあってもすこし贅沢な時間を過ごしていただけるのではないかと考え、「MAIWAI」と名付けました。

不思議なご縁でお店作りの話が進んでいる最中に、本物の万祝いと遭遇する機会がありました。本物とは、実際に今から70年前、鴨川で大漁がありその時漁師に配った反物がだったのです。その反物を譲り受けることができ、展示させていただきました。鋏を入れるのはもったいない、といわれた歴史的にも価値のある万祝半纏はどれだと思いますか?スタッフに尋ねてみてくださいね。

万祝
昭和28年当時の貴重な「万祝半纏」

展示の万祝は全て、県指定伝統工芸万祝は鴨川鈴染様のものです。そのうちの一つ、一番奥の壁にあるものは昭和28年当時のものです。大漁祝いとして網元から振舞われた「万祝半纏」としてはおそらく最後のものといわれており、歴史的にも価値のあるものです。特別な縁をつなぎ70年の時を経てモダンにデザインされ、披露されています。

地元の美味しい食材を美味しく召し上がってほしい

地元資本の旅館を営む私たちにできることは 地元のものをつかって、地元の良さをもっと知ってもらい地域を誇りに思ってもらえるよう伝える役割があるのではと思っています。
地元の素晴らしい食材を美味しくいただけるように、調理人がお客様の見える空間で調理をしたものをお席にお届けするスタイルを実現するために「板前ライブダイニング MAIWAI」となりました。
目の前で季節感や房総らしさを実感していただけるよう、板前やシェフは調理場ではなくゲストが食事を楽しむフロアでお料理を仕立てる空間ならではの楽しさも味わっていただきたいです。

MAIWAI 店内
目の前で料理人が仕立てるライブダイニング

全国で鴨川市にのみ残る「萬祝染め」

藍色の地に、漁業の様子や鶴亀、恵比寿大黒など縁起物を鮮やかに染め抜いた「萬祝」。(※万祝とも書かれ、まいわいと読みます)豊漁を祝い船主が船子へ配った、この「大漁祝着」は活気溢れる当時の漁業を象徴するものでした。萬祝は江戸時代の終わり頃、房総半島で生まれたものと云われ、青森県から静岡県にかけて太平洋沿岸地域に広がりました。この風習は明治から昭和半ばまで続き、発祥の地である南房総各地にも萬祝染めの職人が多くいたそうです。しかし、現在萬祝の技法を受け継いでいるのは、日本全国をみても鴨川市に2軒のみ。いずれも千葉県指定伝統的工芸品に選定されています。

漁師たちが大漁を祝い、「万祝半纏」を羽織っていた鴨川の街

江戸時代末期から昭和半ばごろまで鴨川は漁でとても栄えており、万祝いを着れる漁師は選ばれた稼ぎのよい漁師ということで背中の図柄でを見せて自慢しながら着ていたようです。
また、大漁の翌日は全員で万祝いを着て神社にお礼参りをする習わしがあったようで、その姿は圧巻だったでしょう。

MAIWAI 店内
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